品質の高い高麗人参の条件とは

“万能薬”を意味する『Panax ginseng』を学名に持つ高麗人参は、古くから根の部分が希少価値の高い薬草として珍重されてきた植物です。
血行の促進や免疫力の向上、疲労の回復や更年期障害の緩和・改善などに優れた効果を発揮することで知られているものの、質の高いものを選ばなければ、その効能を十分に得ることは難しくなってしまいます。
そこでこの記事では、品質の高い高麗人参の条件とはなにかについてご紹介します。

高品質な高麗人参の3つの条件とは?

紅参であること

サプリメントや粉末・濃縮エキスなど、健康食品の原料に利用される高麗人参には種類があり、そのうち特に健康の維持・増進に有益な効能をもたらすのが紅参(こうじん)です。
紅参とは、生の高麗人参である水参(すいさん)の皮をむかずに蒸気で蒸し上げたのち、水分の含有量が14%以下になるまで自然乾燥させたものです。
赤く色づくまで乾燥させる過程で有用成分が新たに生じるので、薬効がほかの種類よりも高いとされています。
赤褐色や黄土色をしているためにその名がつけられた紅参は、しっかりと乾燥加工されているので非常に硬く、10年以上もの長期保存が利くのが大きな特徴といえます。

紅参が高い品質を支える理由とは?

高麗人参はサポニンという植物の苦みやえぐみなどの元となる成分を含んでおり、その特有のサポニンはジンセノサイドと呼ばれ、高麗人参がもたらす優れた効能の中心的な役割を担っています。
多くの種類が存在するジンセノサイドは、高麗人参の中でも紅参が豊富に含んでいるため、高い効果や価値が認められているのです。
紅参が豊富なジンセノサイドを含んでいるのは、その加工処理に理由があります。
そもそもジンセノサイドは高麗人参の表皮付近に特に多く含まれている成分ですが、皮つきのまま蒸して乾燥させるという過程を経ることにより、種類や含有量が増えることが成分分析によって明らかにされているのです。
品質の高い高麗人参を活用したい場合には、ジンセノサイドが豊富な紅参を原料に利用した製品を選ぶのが推奨されています。

栽培年数が6年根であること

高麗人参は加工法による分類のほか、栽培年数によっても品質に違いが現れるのが特徴といえます。
1年根から6年根まで分けられる高麗人参は4年根以上が有用とされ、もっとも品質が高いのは栽培に6年を費やした6年根となっています。
6年根の紅参は30種を超えるジンセノサイドを含んでいるのが大きな特徴で、その薬効を支える重要な成分として作用します。
高麗人参と同じウコギ科に属する北アメリカ原産の西洋人参や、中国の雲南省から広西省などが産地の三七人参と比較しても、ジンセノサイドの含有量が2倍以上あることが、紅参の価値をより高める要因となっているのです。

6年根が高品質とされる理由とは?

高麗人参の6年根が高品質として扱われるのは、有用成分の含有量やバランスが向上するためとされています。
とはいえ、栽培年数が長いほど有用成分が増加するという単純な話ではなく、7年目以降はむしろその含有量が減少する傾向が見られ、病害虫の被害を受けやすくなってしまうのです。
そのため、7年を超える高麗人参の栽培はおこなわれないのが通常となっています。
表皮付近にジンセノサイドを多く含む6年根を使って加工した紅参は、高麗人参の最高級品として扱われており、その分価格も高くなるものの、もっとも薬効に優れた製品のため高い効果が期待できます。

著名な産地で採れたものを選ぶこと

高麗人参が含むジンセノサイドを産地別に調査した報告には、中国産では14種が含まれている一方、朝鮮半島産のものには38種が含まれていたというものがあります。
非常に栽培が難しいことで知られる高麗人参は、栽培地の土壌や気候の違いにより有用成分の含有量に違いが現れると考えられています。
朝鮮半島産での著名な産地では豊基や錦山群などが挙げられるほか、中国・長白山地域の周辺、日本では長野県東部の東信地方や島根県の松根市などが知られています。
ジンセノサイドを多く含む高品質な高麗人参の入手には、上記のような産地で採れたものを選ぶのも一つの方法といえます。

紅参の品質による等級の分類もある

高麗人参製品の販売をおこなっているメーカーの中には、加工法による分類だけでなく、紅参の加工後の品質によって、主に5つの等級に分けている企業もあります。
紅参の品質がもっともよい特上品である『天参(てんさん)』、天参に次ぐ良好品の『地参(ちさん)』、地参に次ぐ『良参(りょうさん)』、良参に次ぐランクで胴体を二等分にし包装した『切参(せっさん)』、紅参の胴体以外の部分の『尾参(びさん)』などに分類されています。
こうした等級分けは、色や形・大きさ、内部の緻密度や希少性などで決められ、最高品質とされる天参は、全体の0.5%以下のみが該当するにとどまるといいます。
高麗人参の使い始めはお値打ちな製品を選んで試してみた後、ご自身の予算や目的に応じて、より高い等級の製品を検討してみてもよいでしょう。