高麗人参の働きによる食欲不振の改善効果とは

高麗人参は古くから胃腸の健康に効果的として利用されてきた薬用植物で、生薬として漢方薬の原料の一つともなっています。
高麗人参には自律神経のバランスを整えたり、ストレスを軽減したりする作用が備わっており、こうした働きによって食欲不振を改善する効果が期待できるのです。
この記事では、高麗人参の作用による食欲不振の改善効果についてご紹介します。

食欲不振とその状態に陥る主な原因とは?

食欲不振とは、ものを食べたいという生得的な欲求の低下や喪失により、食事を摂る気にならなかったり、お腹が空かなかったりする症状が現れることです。
胃腸などの消化器官になんらかの異常が生じた場合や、過度のストレスや疲労、服薬の副作用、体重が増えることへの恐怖感など、さまざまな原因によって食欲不振につながります。

精神的・身体的ストレス

食欲不振になる原因でもっとも多いのは、心身へのストレスです。
家庭や職場などの人間関係の不満や、仕事の重圧などによる精神的な負担、疲労の蓄積や身体的な痛み・ケガ、音や光・気温差などの肉体的なストレスにさらされると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が過度に優位になります。
すると身体が緊張状態になり、消化管の機能を司る副交感神経の働きが抑えられ、食欲がなくなる場合があります。

運動不足や睡眠不足

身体の生命維持や活動に必要なエネルギーが不足すると、脳の視床下部が指令を出し、食事を摂って補給するように促します。
摂食欲求を促したり抑えたりする摂食中枢であり、満腹中枢でもある視床下部から指令を受けると起こるのが食欲ですが、運動不足で活動量が減るとエネルギーを補う必要性も下がるため食欲が落ちるのです。
また、睡眠不足が引き金となり自律神経のバランスが崩れると、胃腸の不調や食欲不振につながる場合もあります。

アルコールの摂りすぎ

アルコールの分解・解毒は肝臓でおこなわれるため、大量の飲酒の習慣があると肝臓にかかる負荷が大きくなり、有害物質の解毒機能が下がってしまいます。
肝機能の低下は吐き気や胃もたれ・胸焼けのほか、全身のだるさなどの症状とともに、食欲の低下を招きます。
また、アルコールの過剰摂取がつづくと胃や膵臓への負担も重くなり、粘膜などに炎症が生じることで機能が低下して食欲不振につながる場合もあります。

高麗人参の作用による食欲不振の改善効果とは?

自律神経の整調作用

高麗人参には自律神経の整調作用が備わっており、消化器官と密接に関わる自律神経のバランスを正常化することで食欲不振の改善に効果が期待できます。
自律神経は生命維持のために内臓や血管などの機能の制御を司る神経で、日中や活動時・興奮や緊張時に優位になる交感神経と、夜間や休息時・安静時に優位になる副交感神経とで成り立っています。
両者がバランスを取ることで自律神経は正常に機能しますが、アンバランスになると内臓に不調が起こったり情緒不安を招いたりします。
胃腸などの消化器官は副交感神経の支配下にあり、主にストレスがその不調を招いて食欲不振を起こすのは、交感神経が刺激されて優位になり、心身が緊張状態に陥るためです。
食欲不振の改善には、自律神経のバランスを正常に保つことが重要となるです。

自律神経の整調に作用する成分とは?

高麗人参には有用成分のジンセノサイドが30~40種含まれており、体内の状態を正常化する恒常性の作用を補うと考えられています。
ジンセノサイドは主に、交感神経を優位にする『トリオール系』と、副交感神経の働きを助ける『ジオール系』との2つに大別され、両者が相互に働くことで自律神経のバランスを効果的に整えます。
中でもジオール系の『ジンセノサイドRb1』は、自律神経のバランスの整調に優れた作用を示すことが明らかにされています。
ジンセノサイドRb1は中枢神経の抑制や精神の安定作用、鎮痛作用などを備えており、過度に優位になった交感神経を鎮めて安定させるため、自律神経の整調に高い効果が期待できるのです。

ストレスの軽減作用

前述のように、食欲不振にはストレスが深く関わっており、強い外的ストレスは交感神経の活動を亢進させて副交感神経の働きを抑え、その支配下にある消化器官の不調を招いて便秘や下痢、神経性胃炎などを引き起こす遠因となるのです。
また、ストレスが慢性化すると胃粘膜の免疫力が低下し、ピロリ菌の活発な活動を助長してしまうため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの発症リスクを高める原因ともなります。

ストレス軽減に作用する成分とは?

高麗人参が含む成分でストレス軽減に優れた作用を発揮するのは、ジンセノサイドの『PPT』という種類が挙げられます。
PPTをはじめ、ジンセノサイドの多くは神経の働きを助ける作用を備えているため、ストレスによって刺激を受け興奮した神経を鎮め、精神安定に有効に作用します。
また、高麗人参はカルシウムやマグネシウムといった、神経の興奮を抑えて精神安定に作用するミネラル類を含んでおり、ストレス軽減に貢献しています。
外的ストレスは自律神経に強い影響を与え内臓や精神に変調をきたすため、高麗人参の摂取はこれらの原因に効果的に働きかけ、食欲不振の改善に役立つといえます。