高麗人参は血行の促進に効果的

血行は人体の健康と深く関わっているため、血行がよいと体調もよくなる一方、血行不良になると冷え性をはじめ、肩こりやめまい、頭や腰・関節など身体の痛み、便秘やむくみ・肌荒れなど、さまざまな不調が全身に現れてきます。
それだけでなく、血行不良が慢性化すると、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞といった疾患の発症リスクの上昇にもつながります。
高麗人参には体内の血液循環を促す成分が含まれており、これらの働きによって血行を促進し、多くの有益な効能が得られるのです。
この記事では、高麗人参が含む血行促進に作用する成分の特徴などについてご紹介します。

血行不良について

血行とは身体の血液のめぐりを指す言葉で、人の体内には成人の場合で約3,000ccの血液が流れています。
血液の働きによって、全身の細胞のすみずみに酸素や栄養分が運ばれ、細胞から発生した二酸化炭素や老廃物は肝臓などの処理器官へと運び込まれています。
血行は常に一定におこなわれるわけではなく、体調などの影響で悪くなる場合があり、血行不良が進むと摂取した栄養分が全身に供給されなくなるうえ、老廃物も体内に蓄積されていきます。
すると肩こりやむくみなどの症状が現れるほか、動脈硬化などを引き起こす可能性もあるため、血行は人体の健康に大きな影響を与える存在といえるです。

血行の悪化で起こる体調不良とは?

血行不良による悪影響の代表的な症状には、女性に多い冷え性が挙げられます。
そもそも人体には、生命の維持に重要な脳や内臓など、身体内部の温度である深部体温を一定に保とうとする機能が備わっています。
外気温が下がると、体内の熱の放出を防ぐために自律神経の交感神経が優位になり、血管を収縮させて手指やつま先に流れる血流を減らし、身体の中心部に血液を集めるように働きます。
そのため、深部体温の低下は避けられても、手先・足先など身体の末端部分への血行が滞って冷えにつながるのです。
血液は体内で産生された熱を全身に伝えて温める体温調節の役割も担っており、特に手や足先に流れる毛細血管は非常に細いことも重なって、血行不良は心臓から遠い末端部分の冷えを招きやすいという悪循環に陥ります。
血行不良による冷えが慢性化すると頭痛やめまい、腰や下腹部の痛みといった症状のほか、免疫力の低下を招いて風邪を引きやすくなるなど、さまざまな体調不良の原因となるのです。

高麗人参が含む血行促進に作用する成分とは?

高麗人参には、血液の粘度を下げて循環をスムーズにしたり、血管を拡張したりする成分が含まれており、これらの働きによって血行促進の効果が期待できます。
以下で主な成分の特徴や働きについてご紹介します。

ジンセノサイド

高麗人参の有用成分であるジンセノサイドには、優れた血行促進の作用が備わっています。
ジンセノサイドとは、植物の根や茎・葉などの苦み成分であるサポニンの一種で、高麗人参に含まれる特有の成分を指す場合に用いられる名称です。
ジンセノサイドには人体の健康に役立つ多くの生理作用があり、高麗人参がもたらす効能の中心的な役割を担っている成分なのです。
ジンセノサイドは大きく『ジオール系』と『トリオール系』とに分けられており、前者に分類されるジンセノサイドRb1は、血管を拡張して血行を改善する作用を持ちます。
一方、後者に属するジンセノサイドRg1には、血中の血小板が固まって縮まるのを抑えてスムーズな血行を保つ作用が備わっています。
また、ジオール系に分類されるジンセノサイドRb2は脂質の代謝を促す作用を備えており、余分な脂質の蓄積を防いで血中での濃度を低下させ、血液の流動性を高めることでも血行促進に役立っているのです。

アルギニン

高麗人参には数多くのアミノ酸が含まれており、特に血行の促進に作用する非必須アミノ酸であるアルギニンの含有量が多いことが明らかにされています。
体内でも合成できるアルギニンは、マメ科の植物の芽から発見されたアミノ酸の一つで、体内で血管を拡張する働きを持つ一酸化窒素を産生し、血行の促進に貢献しています。
一酸化窒素は、心臓から全身に送り出された血液が再び戻る循環経路である体循環(たいじゅんかん)や、血圧の調整など重要な働きをするほか、血管を拡張して血流を高めることで動脈硬化や心筋梗塞などの予防にも優れた作用を発揮します。
一酸化窒素が不足すると、血管の拡張が阻害されて収縮し、血行不良を招いてしまうため、アルギニンによってつくられることで血流を増やし、血行促進の効果が期待できるのです。

その他の成分

高麗人参が含む血行促進に関わるその他の成分には、非必須アミノ酸のグリシンやビタミンB群の一つであるナイアシンなどが挙げられます。
グリシンにはアルギニンと同様に血管を拡張させる働きが備わっており、血行促進に役立っています。
また、ナイアシンは毛細血管を広げて血行促進に作用する成分で、冷えによる肩こりや頭痛などの改善に有効に働くほか、糖質や脂質の代謝に必要な酵素の働きを補うことで、血中のコレステロールや中性脂肪の濃度を下げて血液の流動性を高める効果が期待できます。