高麗人参の作用によるデトックス効果とは

“万能薬”を意味する学名を持つ高麗人参は、古くから身体の調子を整えるのに優れた薬効を持つ植物として珍重されてきました。
その効能をまとめた『高麗人参七効説』によると、「体内の毒が消され傷を治癒させる」という意味の『托毒合瘡(たくどくがっそう)』の働きを備えているといいます。
人体にとって有害な物質や老廃物などの蓄積が進むと、さまざまな悪影響が全身に及ぶため、意識的なデトックスが推奨されているのです。
この記事では、高麗人参に期待できるデトックス効果についてご紹介します。

デトックスについて

デトックスとは『解毒・浄化』を意味する言葉のdetoxificationの略称で、健康や美容の分野では人体に悪影響を及ぼす有害物質や、体内に蓄積された老廃物を便や尿として排出することをいいます。
現代人の体内には、残留農薬や加工食品の添加物、酸化防止剤や合成界面活性剤などの化学物質、排気ガスや紫外線、電磁波といった有害物質が日々取り込まれています。
毒となる有害物質が体内に蓄積しやすい環境下で生きているといえ、その悪影響を完全に避けるのは不可能といえます。
人体にはもともと、こうした不要物を体外へと排出する機能が備わっていますが、処理できる量を超える毒素が体内に入り込んでくる現状では、意識的なデトックスが必要とされているのです。

重金属の蓄積には注意が必要

疲れやすさや全身のだるさ、意欲の低下などを伴う体調不良がつづく原因は、体内に蓄積された有害物質の悪影響と考えられています。
特に人体に悪影響を及ぼす鉛やヒ素、カドミウムといった有害重金属は、体内の脂肪に蓄積されやすいうえ、人体内の酵素に結合してその正常な機能を妨げる性質があります。
また、重金属の排除に作用する活性酸素の体内での活動量も増えるに伴い、発生する量も増大して生体成分や正常な細胞まで攻撃してしまうので、活性酸素もデトックスの対象物質の一つに該当します。

高麗人参がデトックスに有効な理由とは?

抗酸化作用がデトックスに有効

高麗人参の有用成分のジンセノサイドは、活性酸素を体内で消去する高い抗酸化力を持つことが分かっています。
ジンセノサイドと同様な作用を持つ含有成分にはビタミンCもあり、これらが高い抗酸化作用を発揮することで、脂質などの生体成分や細胞を酸化から守っています。
また、高麗人参には亜鉛や鉄・銅などのミネラル類が含まれていて、これらが本来、人体に備わっている抗酸化機能の中心的な役割を果たす『SOD酵素』の構成成分となり、その働きを活性化するために作用します。
こうした高麗人参の成分による抗酸化作用が、活性酸素の効果的な消去に加え、有害重金属との結合を防ぐので、デトックスに有効と考えられています。

血液循環を促す働きがデトックスに有効

全身の血液循環は、有害物質や老廃物の排出と深く関わっており、血行がよくなると体内に溜まった不要物が血液の流れに乗って運ばれ、体外へのスムーズな排出を後押しします。
また、血行の改善は、全身の細胞にくまなく酸素と栄養素を供給するので、古い細胞が新しいものへと生まれ変わる新陳代謝が活性化され、不要物が蓄積されにくくなります。
一方で外的ストレスなどの影響で自律神経のバランスが崩れ、消化器官の働きが緊張して便通が悪くなると、不要物の排泄が停滞してしまいます。
すると、腸管内で悪玉菌が増殖して腸内環境を悪化させ、アンモニアなどの有害物質を発生を招くことにもつながるのです。

血液循環の促進に働く成分とは?

高麗人参はジンセノサイドの働きにより、脂質の代謝を助けて血中の中性脂肪やコレステロールの量を低下させるために作用します。
さらに、プラスミンというタンパク質分解酵素の働きを活性化して、血のかたまりである血栓を溶解したり、血液を固まりにくくしたりする作用を発揮します。
そのため、血液の粘度の上昇を防いでその流動性を高め、血行の促進に役立っているのです。
非必須アミノ酸のアルギニンやグリシンには、血管を拡張させる作用があるため、血流を増やして不要物を排出するデトックス効果を高めています。
アルギニンにはまた、脂質の代謝を促す作用もある成長ホルモンの分泌量を増やす働きがあることから、脂質の血中濃度を下げてスムーズな血行を助けています。

アンモニアの解毒作用がデトックスに有効

主にタンパク質の代謝によって発生するアンモニアは、人体にとって非常に毒性の強い有害物質です。
人体の細胞内には、生命維持や身体活動に必要なエネルギーを産生するミトコンドリアが存在し、アンモニアはこの機能を阻害するため、血中のアンモニア濃度が高まるとエネルギーが不足して強い疲労感を招きます。
アンモニアの解毒は、肝臓内にあるオルニチン回路で主におこなわれており、最終的に無毒な尿素に変換されて体外へと排出されます。
オルニチン回路の機能を助け、アンモニアの解毒を促す役割は、血行促進にも作用するアルギニンが担っています。
血中のアンモニア濃度を下げることは、人体がエネルギー不足に陥るのを防ぎ、健康維持に欠かせないデトックスといえるのです。