高麗人参は肝臓の機能の向上にも効果的

含まれる成分の働きにより、高麗人参は肝機能に関わる漢方薬の原料の一つに利用されるなど、肝臓の健康を保つためにも有効に作用します。
高麗人参の持つ血行を改善する作用や、新陳代謝を促すといった働きが肝臓の負担を軽くし、その機能の維持や向上に大きく役立つのです。
この記事では、高麗人参に備わる働きによる、肝臓の機能を高める効果についてご紹介します。

肝臓とその主な働きについて

上腹部の中心から右寄りにあり肋骨に守られた肝臓は、成人男性では1~1.5kg、女性では約1kgと、体重の2~4%に相当する人体最大の臓器です。
肝臓は500を超える機能を備えていることから、『体内の化学工場』と表現されることもあります。
その幅広い機能のうち、主なものには『代謝』『解毒』『胆汁の生成・分泌』『栄養物質の貯蔵』が挙げられます。

栄養素の代謝

代謝とは、外から取り込んだ栄養素を分解・再合成し、人体の生命維持に必要なエネルギーを生み出して消費する一連の流れをいいます。
肝臓がおこなう代謝とは、胃腸などの消化器官で消化・吸収された栄養素を、酵素の働きによって体内の各組織が利用しやすい形につくり替えたり、熱量として生み出したりする働きを指します。
代謝された物質は血中に放出され、全身の各組織に供給されたり、肝臓などの器官に蓄えられたりします。
食物から取り込まれた栄養素はそのままでは利用できないので、消化管で分解されたのちに肝臓内での代謝を経ることで必要に応じた形へと変えられるのです。

有害物質の解毒

肝臓には、体内に取り込んだ化学薬品やアルコール、代謝で生じたアンモニアなどの有害物質を分解して毒性の低い水溶性物質に変え、尿や胆汁中に排泄する解毒機能も備わっています。
肝臓には動脈と静脈のほかに『門脈』という血管があり、胃腸や膵臓・脾臓など腹部にある器官から流れた血液が心臓に戻る前に、門脈を通って肝臓に集まるつくりになっています。
肝臓にはこの門脈があるために、栄養素だけでなく有害物質も流れ込むので、肝臓はこれらを分解して無毒化する解毒の機能も備えているのです。

胆汁の生成・分泌

肝臓は、コレステロールと胆汁酸から胆汁をつくり出す機能も備えているため、脂質の消化・吸収を助ける作用などを持つ胆汁を分泌する器官として扱われてもいます。
肝臓で生成された胆汁は、いったん胆嚢に蓄えられて濃縮され、十二指腸で膵液とともに分泌されることで、脂質の代謝を助けているのです。

栄養物質の貯蔵

肝臓には、代謝した栄養素をエネルギー源として蓄える貯蔵庫のような機能も備わっています。
一例を挙げると、ブドウ糖の一部は利用されやすいグリコーゲンの形に変換されて貯蔵され、必要に応じて元の形に戻り、血中に放出されます。
また、摂取したアミノ酸の一部を原料にタンパク質を合成して貯蔵し、残りのアミノ酸はグリコーゲンや脂質に変換して蓄えるなどの働きもおこなっています。

高麗人参の持つ作用による肝臓機能を高める効果とは?

古くから高麗人参は生薬として漢方に用いられており、そのうち肝臓に有益な効能をもたらす薬に処方されているものも多くあります。
代表的なものには、慢性肝炎に汎用される『小柴胡湯(しょうさいことう)』や、肝機能の低下によるだるさや食欲不振を改善する『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』などが挙げられます。
高麗人参はこうした漢方薬の原料の一つに配合されることからも、肝臓の機能に有効に作用することが伺えるのです。
以下では、肝機能向上に関する高麗人参の主な作用をご紹介します。

新陳代謝を促す作用

人体内では、あらゆる器官や組織を構成する細胞の新旧が入れ替わる新陳代謝がおこなわれています。
約3,000億個の細胞で構成される肝臓では、約2ヶ月の周期で新陳代謝がおこなわれているため、この活動が盛んになると細胞が若い状態で保たれ、肝機能低下を防ぐ効果が期待できるのです。
高麗人参には有用成分であるジンセノサイドや、非必須アミノ酸の一つであるアルギニンやグリシンなど、血行の改善作用に優れた成分が複数含まれています。
全身の血行が促されると、細胞に十分な酸素と栄養素が供給されるうえ、老廃物のスムーズな排出を後押しすることになり、新陳代謝が活性化されます。
また、細胞分裂の際に必要な200種以上の酵素の働きを補う亜鉛も含んでいるので、活発な新陳代謝を助けるために作用します。
こうした成分の働きにより、高麗人参は肝臓の細胞の老化を防ぎ、その機能の維持や向上の効果が期待できます。

抗炎症作用

高麗人参が含むジンセノサイドの数は30~40種とされており、それぞれに特徴的な作用や効能が備わっています。
中でもジオール系に属する『CK』やトリオール系の『PPT』、オレアノール系の『Ro』というジンセノサイドには炎症を抑える作用があると考えられています。
特にCKには肝機能を保護したり、Roには解毒機能を向上させたりする作用が期待できるなど、こうした成分の働きにより肝臓の炎症を抑えて負担を軽くし、機能の維持や改善効果が期待できるのです。