高麗人参は栽培に6年かけた6年根が最高品質

市販されている高麗人参を利用した製品の中には、『6年根』という言葉が記されているものが多くあります。
その表記に見られるように、高麗人参は栽培に6年かけた6年根がもっとも高品質として扱われており、その高い価値は有用成分の含有量によって支えられているのです。
この記事では、高麗人参の最高品質である6年根についてご紹介します。

高麗人参は年単位で成長する

複数年にわたって生存する多年生の植物である高麗人参は、種まきから1年目で葉をつけ、通常1年ごとに1枚ずつ増えていきます。
3年目を過ぎると花が咲き始め、4年目以降に赤く小さな実がなり、土の栄養分を吸収して根を太らせ、6年目で成長のピークに至ります。
土の中の根の部分も年を経るごとに枝分かれしていき、6年目になると地下茎である脳頭、主根である胴体、支根の足・細根の尾がバランスよく発育し、人体のような形状になるのです。
高麗人参に『ニンジン』という名詞がつけられたのは、このように人の形に似ているためとする説もあります。
なお、古くから高麗人参は根が肥大して人体の形に近づくほど、栄養価や品質が高いとされており、現在でも栽培に6年を要する6年根が最上級品として扱われています。

高麗人参の最高品質である6年根について

高麗人参は、土の中で生育された根の部分に多くの栄養分が含まれるため高い価値があり、生薬として漢方や、加工して健康食品などに利用されます。
高麗人参は種まきから収穫までの年数に応じ、1年根から6年根の6等級に分類され、もっとも高品質である6年根は、その名のとおり6年間を土の中で過ごして成長したものを指します。

6年根の特徴や最高品質として扱われる理由とは?

高麗人参は栽培の6年目までは、年数を重ねるほど根が大きく太っていき、有用成分であるジンセノサイドをはじめとする栄養成分の含有量も多くなり、内容が充実するのが特徴です。
一般に栽培1~3年目までの高麗人参は、糖質の含有量が高いので調理の食材として幅広く利用されますが、有用成分が含まれる量は低めとなっています。
通常では、栽培4~6年目の高麗人参が有用であるとして収穫され、栽培に要する時間と手間のもっともかかる6年根は、有用成分の含有量も最大になるため、最高品質として扱われています。
とはいえ、栽培が長いほどよいという単純な話ではなく、有用成分の含有量がピークに達する6年目を過ぎると徐々に硬くなる傾向があるほか、病害菌や害虫からの被害を受けやすくなり、根腐れを起こしたり枯れたりする可能性が高まってしまいます。
また、7年目以降でも成長をつづけるのは有用成分の少ない根の中心部とされ、高麗人参のもたらす有益な効能を支えるジンセノサイドの量も減ってしまうため、こうした理由から6年根が上級品として価値が高いのです。

6年根には有用成分の含有量が豊富

高麗人参は古くから滋養強壮剤として利用されているほか、血行の促進や自律神経のバランスの整調などに優れた効果を発揮します。
その高い効果の主成分として作用するのは、高麗人参に特有のサポニンで、特にジンセノサイドと呼ばれています。
そもそもサポニンは植物の根や茎・葉などに含まれる苦み成分で、血行を促したり、活性酸素の大量発生を防いだりするといった作用があります。
高麗人参が含むジンセノサイドにもそれらの作用に加え、免疫力の向上などにも優れた働きが備わっています。
なお、6年根のジンセノサイドの含有量は16.2mg/gとなっており、高麗人参として有用とされる4年根の8.39mg/gや、5年根の14.2mg/gと比べて高いことが明らかにされています。
6年根にもっとも高い価値が認められているのは、有用成分がもっとも多く含まれているためでもあるのです。

高麗人参の6年根は最上級品に加工される

上記のように、6年根は有用成分の含有量がもっとも多いために価値も高い高麗人参で、その豊富な成分を有効に利用するのを目的に、『紅参(こうじん)』と呼ばれる種類に加工されます。
紅参とは、高麗人参の表皮をむかずに蒸気で蒸し上げた後、水分量が14%以下になるまで乾燥・加工されたもので、赤く色づいているためにその名がつけられています。
それに対し、表皮の皮をむいてから乾燥・加工される『白参(はくじん)』と呼ばれる種類があり、両者の大きな違いは有用成分を多く含む表皮部分の有無にあります。
特に、高麗人参の主成分ともいえるジンセノサイドは、表皮付近にもっとも多く含まれているため、皮がついたまま加工された紅参は、白参よりも作用や効能が高くなっています。
また、高麗人参のジンセノサイドには多くの種類が存在し、6年根を加工した紅参には約30~40種が含まれています。
蒸してから乾かすという紅参の加工過程により、ジンセノサイドの濃度がより凝縮されるうえ、その種類も増えることが成分分析から明らかにされています。
6年根の多くは、豊富な含有成分を有効利用するためだけでなく、ジンセノサイドの量や種類を増やす目的でも、紅参として加工されているのです。