高麗人参の価格を分ける要因とは

2年以上にわたって生存する多年生の植物である高麗人参は、生育に費やす時間が長いうえに多くの手間を必要とするのが特徴で、栽培がとても難しいことで知られています。
また、高麗人参は本来、極東アジアの山岳地帯だけに自生する植物のため、古い時代には収穫が非常に困難だったことから、ごく限られた階級の人たちの間で珍重されてきた歴史があります。
そうした理由に裏打ちされなくとも、なんとなく高麗人参は高級品、というイメージを持つ人は少なくないものの、現在では手頃な価格で入手できるだけでなく、予算や用途に応じて選択肢も増えているのです。
この記事では、高価なイメージを持たれる傾向にある、高麗人参の価格を決める要因などについてご紹介します。

高麗人参には高価なイメージがある理由について

高麗人参は古来、優れた薬効を持つ希少価値の高い薬草として珍重されてきた歴史があります。
そもそも高麗人参は、朝鮮半島や中国東北部の山岳地域でのみ自生する植物なので、収穫が非常に難しく、特に朝鮮半島では国家が独占し、もっぱら支配層の間での薬や貿易品として利用されてきたため、庶民にとっては無縁の存在でした。
日本に初めて高麗人参が伝来した奈良時代には、中国東北部などを支配していた渤海という国から聖武天皇への贈り物としてもたらされた、という史実などから、王侯貴族の間でやり取りされる高級品としてのイメージが定着したと考えられます。
また、江戸時代には朝鮮半島から高麗人参を輸入するために『人参代往古銀(にんじんだいおうこぎん)』という専用の銀まで鋳造されるほど、その高い薬効に多くの人気が集まり、江戸市中を中心に流行したといいます。
高麗人参が古くから国や時代を超えて人気を集めた理由は、万能薬ともいわれるほど優れた薬効を発揮するのが大きな理由です。
現在では、高麗人参に高い効能があるからと法外な対価と引き換えに購入することはほとんどなく、国家に独占されるほど高麗人参が珍重された歴史を考慮すると、今日取引される価格は割安といえるのです。

高麗人参の価格を決める要因とは?

高麗人参の価格は、主に産地や栽培年数、加工法や形状といった要因によって左右される傾向があります。
以下では、その主な要因を3つご紹介します。

産地

高麗人参の価格は、産地によって大きな差があるのが特徴です。
著名な産地で採れた高麗人参には有用成分であるジンセノサイドが多く含まれているのが主な理由とされ、それを裏づける産地ごとの含有量の違いは、成分分析によって明らかにされています。
ジンセノサイドの含有量が高く、優れた薬効が期待できるのは著名な産地で栽培された高麗人参で、その分高めの価格で取引されているのです。
なお、高麗人参は畑で人工栽培したものを『人参(ニンサム)』、山の奥で育つものを『山参(サンサム)』として区別されています。
山参はさらに山中で自然に生息する天種参と、山の中に移植した人参の種子が成長した山養参とに分類され、特に天種参は成長が非常に遅いため高い価値があるとされています。
ものによっては希少性の高さから、1本に数百万円の値がつくなど非常に高価格で取引される場合があるものの、採れる数が激減しているのが現状です。

形状

高麗人参は一般に、人体の形に似ていて根が肥大しているものほど価値があるとされています。
そうした形状の高麗人参は高値で取引され、いびつな形のものは安価で扱われている傾向にあるものの、見た目の違いによって得られる効能に大きな差があるわけではありません。
実用目的を優先する場合は、整った形状の高麗人参にこだわらないほうが手頃な価格で入手できます。

加工法・年数

高麗人参は、生の状態の水参(すいじん)を利用した加工法により、大きく2つに分類できます。
表皮をむいてから、水分の含有量が12%以下になるまで天日か熱風で乾燥させた白参(はくじん)と、表皮をむかずに蒸気で蒸し上げてから、水分量が14%以下になるように乾燥させた紅参(こうじん)とに分けられています。
主に栽培年数が4年の4年根を用いた白参は、表皮付近に多く含まれているジンセノサイドの含有量が皮をむいている分低いため、紅参に比べると薬効が劣るとされています。
一方、主に6年根を用い、皮つきのまま加熱して乾燥させるという加工法でつくられる紅参は、ジンセノサイドを豊富に含むために白参より高い価値が認められ、その分価格も高めとなっているのです。

比較的安価なサプリメントは粗悪品に注意

高麗人参は生の状態のものを加工した製品のほか、さらに手を加えたサプリメントや濃縮エキス、粉末といった健康食品が数多く販売され、根の部分を購入するよりも安価に購入できます。
こうした製品が手頃な価格で入手できるのは、価値が劣る形状の悪い高麗人参が原料に利用できるという点が関わっています。
高麗人参の持つ特有の風味が苦手な場合や、より手軽に利用したい場合には、健康食品の中からご自身がつづけやすい形態や予算に合ったものを選ぶのも、出費を抑える方法の一つです。
とはいえ、あまりに低価格の製品は、高麗人参でないものが原料に用いられていたり、粗悪品であったりする可能性もあるため、購入を避けるのが無難といえます。