高麗人参の味やにおいの特徴とは?

滋養強壮をはじめとする幅広い健康作用を持つ高麗人参は、古くから万能薬して珍重されてきた植物です。
その有益な効能を得るにはつづけて摂ることが推奨されているものの、日常的な摂取で気になるのはその特有の風味ではないでしょうか。
そこでこの記事では、高麗人参が持つ味やにおいの特徴や、それらの緩和方法などについてご紹介します。

高麗人参の味について

高麗人参には『ニンジン』という名前こそついているものの、一般に食用とされる野菜のニンジンとは全くの別物です。
野菜のニンジンはセリ科に属し、熱を加えると甘みが増す性質がある一方、ウコギ科の植物である高麗人参は苦みの強い味をしており、両者は形が似ていても植物としての系統が異なるため、味も全く違うのです。

高麗人参は強い苦みが特徴

強い苦みのある高麗人参は、根の部分が漢方に利用されるため、薬のような味とよく形容されます。
実際に高麗人参を生のまま口に含むと、えぐみが強く、土っぽくて薬のような苦さを感じるという人がほとんどです。
優れた薬効を持つ高麗人参は「良薬は口に苦し」の言葉のとおり、お世辞にもおいしくて飲みやすいとはいえない味をしているのが特徴といえます。

高麗人参に特有の味の原因とは?

高麗人参の強い苦みの原因は、サポニンの一種で、特有成分であるジンセノサイドにあります。
サポニンは植物の根や茎・葉などに含まれ、苦みやえぐみの原因となる成分で、高麗人参に含まれる場合にはジンセノサイドと呼ばれています。
その主な働きには、血行をよくしたり免疫力を高めたりするほか、自律神経のバランスを整えたりする作用などが挙げられ、人体の健康に広く有益な効能をもたらします。
そのため、高麗人参が持つ苦みはそれらの効果につながる成分の元の味といえ、多くの作用を発揮するために不可欠な存在なのです。

高麗人参をおいしく摂るには?

上記のように、独特で強い苦みを持つ高麗人参はおいしいとはいい難いため、摂取するときには飲みやすくする工夫を要する場合があります。
苦みをやわらげるために一般的なのは、細かく刻んでから煎じる高麗人参茶に、ショウガや乾燥ナツメを刻んで加える方法です。
また、ハチミツを加えたり、レモンなどの柑橘類の果汁を入れたりする飲み方も、苦みの緩和に効果的として知られています。

高麗人参のにおいについて

高麗人参の特徴には強い苦みのほか、それを後押しするような独特の泥臭さを持つ『におい』も挙げられます。
栽培に長い年月を要する高麗人参は、成長のために4~6年もの間を土の中で過ごしたものが収穫されるので、当然のように土臭い風味が強く残ってしまいます。
そのにおいは、同様に根の部分を食用とするゴボウの泥臭さを強調したようなもの、と考えてもよいでしょう。
また、前述した特有成分のジンセノサイドを含んでいることでも、強い土臭さを発する原因となります。
特に収穫してすぐの水参(すいじん)という種類は、全体の約80%が水分のため、苦々しい土臭さが際立っています。

高麗人参のにおいを緩和するには?

高麗人参は生のままの水参を調理の素材にしたり、すりおろしたりして使われるものの、独特の苦みを醸すので、扱いが難しい食材といえます。
そのため、ハチミツや焼酎に漬け込んだり、乾燥ナツメや栗と一緒に煎じてお茶にしたりして飲むのが一般的で、香りの強い食品と合わせると独特のにおいが緩和されて摂りやすくなります。
なお、高麗人参には水参のほか、乾燥・加工された白参(はくじん)や紅参(こうじん)という種類があり、加工済みのものは水分が抜けている分、においが大幅に軽減されており、苦みと同時に香ばしい香りまで感じられるといいます。
においが特に気になる場合は、白参や紅参を利用するのがおすすめといえます。

高麗人参に特有の風味が苦手な場合には?

高麗人参の持つ特有の風味がどうしても苦手、という場合には、におい漏れなどがない錠剤やカプセルの形に加工されている、サプリメントの利用が推奨されています。
市販されているサプリメントなどの健康食品の原料に利用されるのは、加工の用途が広く価格も手頃な白参が主流となっているので、継続的な摂取に必要な費用が抑えられるというメリットもあります。
また、味やにおいを調整して飲みやすくした栄養ドリンクなども販売されているので、初めて高麗人参を摂る場合の風味の確認や、慣れるまでのつなぎとして利用するのもよいでしょう。

高麗人参の味・においのまとめ

高麗人参が発するにおいを苦手とする人がいる一方、日頃から漢方薬を服用していたり、クセや香りの強い飲み物や食べ物に慣れたりしている人の中には、その特徴的な風味を有益なものに感じて好む人も一定数存在します。
とはいえ、水分量の多い水参には土臭さや強い苦み・えぐみなど、特有の風味が色濃く残っているうえに保存性に欠けるため、乾燥・加工された種類である白参や紅参は扱いや摂りやすさの面でおすすめといえるのです。